2011年11月26日土曜日

『火山の王宮』~象を殺した者

『火山の王宮』~象を殺した者 当日パンフレットより

本日はお忙しい中をご来場いただき、まことにありがとうございます。

石川町の駅前で木造の艀を劇場に、横浜ボートシアターを始めて25年。
木造船の二度の沈没。そして現在の鉄製の艀。しかし現在、ふね劇場が係留している岸壁での公演はできない。せいぜい稽古場としての使用が限度で、名実ともに「ふね劇場」として活動できることが我々の悲願です。
ともかくも25年間、我々は様々なことに出会いながら、多くの人々の力に助けられてやってきました。これから先どこまで続けられるか分かりませんが、今までもそうであったように、まず一回一回の作品づくりに全力を尽くすこと。劇団や劇場、それは作品を作るための大切な仕掛けであり、それに尽きるのだと思います。

「火山の王宮」の原作、エリザベス・プラセトヨ著「白い菩提樹」はインドネシア語・フランス語・英語・日本語の四ヶ国語で書かれ、インドネシアを代表する画家の一人ヘリドノの装丁・挿絵による美しい本です。
私がこの本に最初に出会ったのは1998年。その年の10月に劇団が上演した「HOTEL 水の王宮」の準備のために出かけたジョグジャカルタの町で立ち寄った画廊「チムティ」でした。この年はインドネシアで政治暴動があり、それまでの大統領が替わった年でもありました。
「白い菩提樹」の本に出会ってから約10年。
多くの方の協力があり今回の上演が実現しました。なかでも長年に渡りバリやジャワの写真を撮り続けてこられた、古屋均さんの協力がなければ実現できなかったでしょう。心よりお礼申し上げます。

題名の「火山の王宮」は、やはりジョグジャカルタに実在する「水の王宮」をイメージして作った「HOTEL 水の王宮」にちなんでつけた題名です。

2006年5月、「火山の王宮」の台本を書きあげようとしていたやさき、中部ジャワ地震が起き、多くの人々が亡くなられました。
幸い現地の知り合いの方々は無事でしたが、かつて横浜・東京・ジョグジャカルタで上演をした「耳の王子」を、横浜ボートシアターと共同制作したインドネシア国立芸術大学の校舎が大きな被害を受けました。私は完成間近であった「火山の王宮」の台本の大きな書き直しを余儀なくされました。

被害にあわれた方々のご冥福を、心よりお祈りします。

2007年3月16~18日 両国シアターχ
2007年3月21~24日 横浜赤レンガ倉庫1号館ホール
劇団創立25周年記念『火山の王宮』 当日パンフレットより

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